椅子に合わせた
ダイニングテーブルの選び方
家具売り場でダイニングテーブルと椅子を選ぶとなると、つい面積の大きなテーブルに目がいき、そこから選別に入りがちですが、まずは自分の体に合う椅子を決めてください、というのがこれまでの話でした。 椅子が決まったら、いよいよテーブルです。テーブルが家族にとって使いやすいかどうか、という要素は大きく3つあります。天板のサイズ、高さ、そして形状です。 そもそも家具は家電などに比べると、満足か不満かがすぐにわかるものは、そう多くありません。どちらでもないというのが、多いのではないでしょう か。そんな中、テーブルは「大きな問題がなくて当然、不満点があればとても気になる」という家具の一つです。なので、とりたてて不満が出ないものを選べ ば、ひとまず成功とも言えます。成功するためには、椅子の高さとのバランスが大切なので、今回は高さの話をします。 高さのバランスは、「天板の高さ」と「椅子の座面」の差=「差尺」が鍵になります。では、どんな差尺がいいのでしょうか? 人間工学の立場から出 た数字と、デザイナーや家具メーカーなどが出す数字には若干違いがあるのですが、例えばJAFICA(日本フリーランスインテリアコーディネーター協会) の実験・調査の結果では、「23〜28cm」としています。上が30cmという説もありますが、小柄な人は28cmのほうがいいように思います。座高 42cmの椅子なら、65〜70cmの高さのテーブルを選ぶと、だいたいの人に合うでしょう、という数字です。 実はここでも椅子同様の問題があって、一般に売られているテーブルは、70cm前後の高さがほとんど。65cmが欲しくても、いわゆるリビングダ イニング家具(前回参照)でもなければ、かなり商品は少ないのが現実です。でも適正差尺の範囲内の68cmなら、選択肢は多くなり、使い勝手の面でも大き な不都合はないはずです。また椅子同様、素材やデザインによってはできないものもありますが、脚を切ってもらう手もあります。 椅子の高さには「1cm単位でこだわるべし」と言ったのに、差尺はこんなに幅があっていいのか、と思われるかもしれませんが、これは身長の差だけ でなく、体格の差(要は太っているとやせているとか)、テーブルの使い方によって、適正数字が微妙に違ってくるため、やむをえないと言えます。 ダイニングテーブルの高さは、食事がしやすいということが第一ですが、たいていの家庭では食事だけでなく、ノート型パソコンで作業したりもしま す。子どもが勉強机代わりに使ったり、アイロンをかけたりするという人もいます。これらの動作は、パソコンのキーボード操作や書き物をするときはやや高め のほうが作業しやすく、食事は逆に低いほうが食べやすいとされています。食事もどんぶりや椀、ときには土鍋がテーブルに登場する和食と、平皿中心の洋食で は、食べやすい高さが少し違います(前者が低め、後者が高め)。でも、和食器だけしか使わない家庭はないでしょうし、1日のなかで、さまざまなことをする のが普通ですから、5cmの差は許容範囲なのです。 言うまでもなく、テーブルの天板と椅子の座面の間には足が入ります。同じ身長なら、同じ差尺でだいたい対応できそうですが、太っている人とやせて いる人では、太ももの太さが違います。さらに言えば、同じ身長と体重でも、一般の人とスポーツで鍛えられた太ももとでは、太さが違います。意外に個人差が 大きいので、このあたりも数字に幅が必要な理由でしょう。 しかも椅子に座る場合、足をきちんと揃えているとは限りません。足を組んだほうが楽という人もいるでしょうし(最近は、無意識に足を組むのは体に ゆがみがあるからで、できるだけ組まないほうがいいと言われているので、あまり推奨したくはないのですが)、あぐらをかくという人もいるようです。同じ人 でも姿勢が変わると、フィットする数字も変わります。 もう一つ注意すべきことは、テーブルの構造。テーブルによっては、天板の下に「幕板」と呼ばれる横長の板が付いているで、差尺の数字=空きには なっていません。購入の際は実際に椅子に座って、足を組んだりしてみることが絶対必要です。そのうえで、ダイニングテーブルで食事以外にどのようなことを 行うかを思い起こし、その動作をしてみてください。 家族の身長や体格がまちまちな場合(ほとんどの家庭がそうでしょう)は、どうしますか? やはりダイニングテーブルを一番利用する人、長い時間 テーブルについている人に合わせるのがいいでしょう。これらを頭にいれておいて、売り場で触れて確かめて購入するのが、テーブル選びの基本です。 座ったときに家族のみんなが楽で、食事だけでなく作業するにも使いやすいテーブルがあると、自然とダイニングにいる時間が長くなり、リビングに立派なソファがなくても、ダイニングが充分家族のくつろぎの空間になるはずです。
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