台所と直結した家庭水田
東京都武蔵野市の住宅街、Nさん宅を訪問し、家庭菜園ならぬ家庭水田を見学させていただいた。この家庭水田は、台所と深く結びついた優れた水田であり、自律的な水循環システムである(写真は12月末の状態なので、寂しい印象は拭えない。想像力をふるって、春夏をイメージしてください)。
家庭水田の水源となるのは、台所からの雑排水である。雑排水は台所から出た後、住まいの周りにつくられた小さな水路をゆっくりと流れてゆく。水路には小さな貝などのほかに、クレソンやセリ、ミントなどの食用可能な植物が育ち、それらは台所での食材になる。水路はやがて池(ビオト−プ)に流れ込み、そこではメダカたちが泳いでいる。メダカたちのエサ(微生物)になるのも、元はといえば台所から流れてきた栄養分である。
生き物が育つということは、裏を返せば、水が浄化されたということである。過剰な栄養分が吸収された水は、水田稲作にとって手頃な水質(貧栄養)になる。池から出た水は、隣の水田へと流れ、そこでイネが育つことになる。この時点でも、じゅうぶんに飲用に耐える水質は確保されているけれど、最後は砂による緩速ろ過によって、さらに浄化する。飲用水としての水質基準を楽々クリアした水は、再度、台所に送り込まれて、調理用や飲用水として利用される。食材だけではなく、水も提供してくれる。家庭水田は2つの点で、台所と結びついている。
Nさん宅では、この家庭水田は敷地南側にあるので、さらなる副次的効果もある。冬場の太陽の高度は低いから、南からの日射は水面に反射して家に向かってくる。いっぽう夏場は水の蒸散によって、多少なりとも周囲の気温を下げてくれる。植物が育ち、また太陽の高度が高いから、さほど多くの反射はないだろう。
ただ家庭に水田をつくるのではなく、水田の多面的機能を発揮させる。そうすれば、より多くの自然の恵みを生活に生かすことができる。同時に上水や下水道への依存率を小さくすることになり、都市としての持続可能性を上げることになる。
古来より何千年も続いてきた水田稲作は、とても持続可能性の高いシステムだと思う。それを家庭に取り入れるというのは、慧眼だと言わざるを得ない。
エコビレッジへの旅
http://way-to-ecovillage.cocolog-nifty.com/aloha/2007/12/post_3001.html
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田んぼと自然と命のつながり
NPO法人 メダカのがっこう 中村陽子
ジェット機で秋田往復したときでした。上空から、日本地図を同じ形をした日本列島を見下ろすと、こんもりとした森、川、それから平野部に広がる田んぼ、河口近くに町が見えます。田んぼは人間が作った浅くて平らな水辺です。よくもこんなにたくさん作ってくれたものだと感心します。
昨年も今年も、30年ほど放置された棚田を復元してみて分かったことですが、もともと田んぼだったところを元通りにするだけでも、とても大変です。 ユンボやトラクターで平らにしてもらうのですが、水を引いて浅く入れて水平面を作り、そこから土が出ないように均等にする作業は、機械を使ってでも大変です。まして山間に一から田んぼを作った日本人の先祖は、どれほど大変だったでしょう。お米を作る場所は命の元だから、たくさん作って残してくれたのでしょうね。私たちの代で潰してしまっては「もったいない」と思って、少しずつ復元しています。
日本人は、稲という植物にほれ込んで、主食にしました。高温多湿な日本の風土によく合うし、何より一粒からできる収穫量が一番多いのです。麦は一粒百倍程度ですが、稲は一粒千倍は普通ですし、一粒万倍も可能です。先祖の選択は間違いないと確信し、引き継ごうとがんばっています。
最近、ビオトープという水辺の生態系を作る池のようなものがはやっていますが、実は田んぼは、ドイツ語のビオトープという言葉が入ってくる遥か以前から、多様な生きものの命を支えてきた本当の水辺なのです。最近は、農薬や、一年のうち8ヶ月も乾かす乾田化のせいで、全く生きものがいない田んぼが増えてしまい、環境を取り戻すために水を張ってトンボ池とか、ビオトープを作り始めていますが、冬から水を張ったり、ミミズやクモやカエルなど生きものの働きを活用した稲作りにすれば、本当は田んぼだけで十分なのです。
田んぼは、人間が作った生物多様性の池で、国土の7%もあり日本の自然再生の鍵を握るところです。しかも、その田んぼが、主食の生産場所と一致するなんて、理想のあり方だと思いませんか? これはすばらしい先祖をもつ日本人には実現可能です。田んぼの生きものたちも、農家も、消費者もみんなが生きていける田んぼ、いのち輝くみずほの国づくりをみんなで一緒にしましょう。
http://www.geocities.jp/nijo_mizutotanbo/negai.htm#t2
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