環境省の「学校エコ改修と環境教育」03
- 2007/10/27(Sat) -

環境省のエコフロー事業 「学校エコ改修と環境教育」について
宿谷先生のコメントをインターネット上で見つけましたので紹介します。


ところで、「学校エコ改修と環境教育」の企画を提案した善養寺幸子さん
(一級建築士事務所「オーガニック・テーブル」東京都足立区)
は天才ですね!本当に素晴らしい企画です!

私は環境建築(エクセルギー理論)に出会えた幸運な消費者です。
でも、多くの消費者は、環境に良い住宅を求めていても、膨大なコマーシャルに乗せられて、大金を付加価値オプションの建築に払ってしまったり、また高額になることで、最初から諦めてしまいます。

そんな中では、本物の環境建築(エクセルギー理論)は、遅々として普及して行きません。

私の高橋達(いたる)助教授との出会いも、本物を業者の中から探すのを止めて、教育者・研究者に求めたところから、道が開きました。

「学校エコ改修と環境教育」の企画には、多くの実りを予感します。


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──教育の話が続きますが、小学校と組んでお仕事されてるそうなので、そのこともお話しいただけますか?


 はい。環境省の「学校エコ改修と環境教育事業」というプログラムで、去年から始まりました。善養寺幸子さん(一級建築士事務所「オーガニック・テーブル」東京都足立区)というエコハウスなどの設計を得意としている女流建築家の提案によるのですが、彼女も自分たちの取り組みがなかなか広がらない悩みがある中で仕事をしているうちに、ちょうど環境省の事業公募があって、応募したら採用された。どういう事かというと、今、小学校中学校は全国的に老朽化した建物が多くなり、耐震補強が必要な建物が多いのですが、せっかくだから建物を根本的によくしましょうと。国土交通省に「エコスクール」事業というのがありますが、そこでは、効率の良いエアコンをつけるとか、太陽光発電や風力発電をやるという方向に行っている。そこで環境省の方の事業はそうではなく、窓の性能を良くするとか、断熱を良くするという方向で考え、かつ環境教育とも関連づける。子供たちは学校で長い時間過ごすわけですし、子どもが環境教育で学んだことを家に持ち帰ってくれれば、親にも影響を与える。学校をモデルに、家庭や地域でも同じような取り組みが生まれる。地域の工務店も関わっていける。みんなの環境に対する意識が良い意味で雪だるま式に高まるだろう。これが善養寺さんたちの提案の骨子です。


 僕も建築環境の分野で仕事をしてきて、環境づくりの考え方がなかなか広がらないと歯ぎしりすることが多々ありました。だいたい建築の専門家で僕らの考えに共感してくれる人は、建築の「環境オタク」みたいな感じがあって、それとごく一部の関心の高い人や裕福な人が組んで趣味的にやるような状況でこれまで来たわけです。残りの多くの消費者はほとんど興味がない。となれば、多くの建築の専門家はその消費者に合わせますよね。そうしたらいくら立派なこと言っても駄目。逆に考えれば、消費者側が「こういうのを作ってくれ」と求めれば専門家もそれに応じるに決まってますから、取り組むべき相手は建築を買う側だ、と。ちょうど5〜6年前に僕のところの卒論生が「子どもを対象にしたワークショップ」という研究をやって発表したのが始まりで、甲斐さんとつながり、善養寺さんたちともつながっていき、いまに至っているんです。


 この環境省の事業をやるときの条件は、学校を核にして地域でまず「環境建築研究会」と「環境教育研究会」を立ち上げ、1年間勉強会をしてください、というものです。「環境建築研究会」は地域の工務店や設計事務所、一般の人も参加し、一方「環境教育研究会」はその学校の先生、児童の親、興味を持った地域の人に勉強してもらう。両者のメンバーは全く重なるのが理想です。そこから自分たちの街にある学校をこうしていこう、というイメージを持ってもらい、地域の設計事務所なり工務店が改善方法を提案して、研究会が中心になって評価する。学校の先生は環境教育のプログラムを作り、それを授業で展開する。先生は建物の環境のことも勉強し、実際に改修された学校で暮らすことで、例えば「断熱ってこんなに気持ちいいのか」と体感できますよね。子ども達にもそれを伝えられる。その子ども達が将来、家を建てるときに、たとえその体験を忘れてたとしても蘇るはずだ。時間がかかるけど、こういう取り組みが実は近道なんではないか。


──それは発想として非常に面白いと思います。


 なにを悠長なことを、とも言われます。地球温暖化は待った無しなんだ、と。でも上から降ってきて「こうしろ」と言うのはみんな心底ではやりたいと思ってないから、長続きしないですよね。地に足のついた取り組みが後でワーッと花開く方がやっぱりいいんじゃないか。去年、江戸川の方の小学校で試験的に研究会をやって、それなりに成功しています。先生方はお忙しいのでネガティブな反応が出るのを懸念したのですが、幸い先生方にも受け入れられて是非やりたいと。もちろん善養寺さんたちの事務所が全面的に支援しています。環境省もこれはいけそうだということだろうと思います。いまは全国で10校を選び、同様の取り組みが始まったところです。その答えが出るのはもう少し先でしょうけど、良い感じです。


──そうすると、宿谷先生の専門分野の研究と教育の話とが、実際に橋渡しされる可能性が出ているんですね。


 環境教育という面から、それぞれの教科に土足で踏み込んでいってはいけないと思いますが、僕自身は、環境教育を他の教科教育から切り離すべきでないと思っています。環境教育の半分ぐらいが理科になって、半分がぐらい国語になり数学になる、そうしたら本物だと。まさにそうだなっていう事例もすでにあるんです。板橋の方の小学校の先生で、自宅で植栽による日除けを採り入れてその良さを体感した方が、学校でもおやりになった。教室の窓際を全面ヘチマで覆ったんです。さらにキュウリとかも植えたりする。すると給食でキュウリのサラダを残していた子ども達が、残さなくなったそうです。4、5月から目の前で育っているのを見ることの効果がいかに大きいかが分かりました、と。それから理科の先生の話では、光合成について教えるときに、これまではどこかの葉っぱを教室に持ってきて、ビニール袋をかけておくとハイ水が溜まります、なんて具合ですが、自分たちの目の前で毎日育っているヘチマでやったら、子供たちの聞き方が全然違ったと言うんです。生活に密着したところでやるといかに力になるか、という話をされていました。さらに国語の授業でも、その緑を眺めながら詩を書くといったことも展開されておられる。つまり「環境教育」というものに閉じ込めないでやることの可能性が非常に大きいと思います。


──素晴らしいですね。可能性ありますね、本当に。


 すごく苦労もされてるんですけどね。仕事が増えるし、足を引っ張られたり、いろいろあるんですが。


──その辺はNPOなどが上手に協働できればいいですね。そのときに、NPOと大学との協力関係を活かしたい。実際にNPOの方も、学生さんのような継続的に活動・研究できる人材を求めていますし。ヨーロッパではすでに「サイエンスショップ」という例がありまして、大学が窓口になって、地域の環境問題など何か調査研究のニーズがある場合、住民からの依頼を受けて学生さんを配置し、学内・学外の資金を活用し、研究してもらう。もちろん学生の業績となって残っていく。日本でもこういうシステムがNPOと結びつけば、おおいに活性化するだろうなと思っているんです。


 学生はそういうのを敏感に察知して、積極的に参加するんじゃないかな。実は善養寺さんの事務所でも、コアメンバーは僕のところの卒業生2人なんですよ。


──そうですか、頼もしいですね。



宿谷 昌則さん(武蔵工業大学環境情報学部教授) インタビュー
http://www.csij.org/archives/2007/02/interview7.html

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ecoflow「学校エコ改修と環境教育」
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